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はじめに - Column - リスク共生社会創造センター|横浜国立大学

Column

Column 01 リスク共生の視点から新型コロナ対応を考える

重症化リスクの計量について第1回(2020.05.15 掲載)はじめに

著者:大重 賢治横浜国立大学 保健管理センター 教授

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、年初以来、世界中で猛威を振るっている。
5月時点においては、感染拡大の勢いにややブレーキがかかりつつあるようであるが、この背景には、各国の強力な感染拡大防止対策に加え、感染爆発をきたしていた北半球の国々が、ウイルスの伝播力が比較的ではあるが減弱されうる夏季に向かっていることも多少影響しているように思われる。

日本においても、PCR検査の実施件数の少なさから感染拡大の状況をつかみにくいという実態があるものの、大まかな傾向としては小康状態といえる状況であろう。
ただ、この小康状態がそのまま ” 快復 ” に向かうという見込みは薄く、集団免疫の獲得やワクチンの実用化の見通しが不透明な状況においては、ウイルスの伝播力が増すことが予想される冬季に向けて地域の医療体制を整備しておくことが肝要になる。

現在、各自治体において患者急増に備えて、医療体制の整備が進んでいる。
神奈川県を例にとると「神奈川モデル」として「医療崩壊を防ぐ新たな医療体制」の構築に取り組んでいる(01

神奈川モデルは、重症者を高度医療機関、中等症者を重点医療機関および重点医療機関協力病院にて加療し、無症状・軽症者を自宅や宿泊施設で待機・経過観察を行う仕組みである。医療資源が需要を支えきれない状況においては、重症化した、もしくは重症化の可能性のある人に、手厚く医療資源を配分するシステムが必要であり、多くの自治体の取り組みも概ね同様のものになると思われる。

ここで重要となるのは、重症化した、もしくは重症化の可能性のある人のピックアップの方法である。
すでに重症である場合、その発見は比較的容易であるが、今後重症化する可能性のあるものを正しく評価することは、実は難しい。感染が判明した人が、その時点では軽症と判断され自宅療養を行っていたところ、数日後に急変し亡くなったという痛ましい事象も発生している。今回の感染症は、人類が初めて出会ったものであり、医療者にとっても臨床的な経験知が生かされにくいという特徴もある。

もう10年以上前になるが、横浜市消防局において、救急通報(119番受信)時に聴取した情報を分析し、通報の対象となった患者が生命の危険にさらされている確率を定量的に評価する試みがなされた。
その定量的評価の結果をもとに119番トリアージアルゴリズムが創られ(02、横浜コールトリアージシステムが構築された(03。筆者は、そのプロジェクトにメンバーとして関わっており、その経験から、今回の感染症の重症化リスク評価に対しても同様のアプローチ、すなわち計量的なアプローチが必要なのではないかと考えている。

今回、リスク共生社会創造センターのコラム執筆の機会をいただいたのは、そのようなタイミングである。
これを機に、10数年前の経験を振り返りながら、重症化リスクの計量について、数回に分けて考察していきたいと思う。

参考文献