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はじめに~超学際研究とは~ - Column - 次世代工学システムの安全科学研究ユニット|横浜国立大学

Column

Column 05 超学際研究:社会課題への新たなアプローチ

第1回(2024.12.06 掲載)はじめに~超学際研究とは~

具 本埈IMS リスク共生社会創造センター 特任教員(助教)

超学際研究:異分野を橋渡しして複雑な問題を解決する

超学際研究(Transdisciplinary Research: TDR)は、一つの分野だけでは対処できない複雑な課題に取り組むために、異なる分野の知識、方法、専門知識を統合する研究形式です。このアプローチは、多くの学術分野を涵盖するだけでなく、非学術的なステークホルダーも積極的に取り込むことで、現実の問題に特に効果的です。

Wicked Problemsと超学際研究の関連性

「Wicked Problem」、つまり「厄介な問題」は、解決が難しく、問題の定義が曖昧で、解決策の試みが新たな問題を生じさせる可能性がある複雑な社会的課題を指します。これらの問題は伝統的なアプローチでは解決が困難であり、通常、気候変動、貧困、公衆衛生の危機など、広範なステークホルダーが関与する分野で発生します。超学際研究はこれらの問題に対して、科学、技術、社会学、経済学、政治学など、多様な分野からのアプローチを統合し、新たな解決策を創出するフレームワークを提供します。これにより、従来の枠を超えた創造的で持続可能な解決策が可能となり、それぞれの問題に根本的な原因を探り、効果的に対応することが可能になります。

超学際研究の理論的枠組みとその展開

超学際研究の理論的枠組みは、異なる分野間での深い対話を促進し、参加者がそれぞれの専門知識を超えて協力することを奨励します。この枠組みでは、個々の学問の方法論や理論を融合させることで、新しい視点やアイデアを創出し、それが実践的なソリューションに結びつくことを目指します。例えば、気候変動に関する研究では、地球科学の技術的な分析と社会科学の行動研究が組み合わされ、より広範な影響とその対策を理解するための新たな方法が開発されています。このような統合は、新しい研究の質問を生み出すと同時に、複雑な問題に対するより全面的な理解を促進します。

超学際研究の歴史的背景と現代的適用

超学際研究は1970年代に、伝統的な研究手法では対応しきれない新しい社会的、環境的課題への回答として発展しました。初期の動機は、環境問題や公衆衛生のようなグローバルな課題に多角的なアプローチを提供することでした。現在、超学際研究は、気候変動、都市計画、持続可能な開発など、さまざまな分野でその適用が拡大しており、科学的知見と実社会のニーズを結びつける重要な役割を担っています。

超学際研究の課題と機会

超学際研究においては、異なる専門分野の融合が大きな挑戦です。各分野の言語や手法の違いを乗り越え、共通の理解と目標に向かって協力する必要があります。しかし、このプロセスを通じて、参加者は新たな知識や技術を学び、異分野間での新しい協力関係を築くことができます。これにより、従来にはない斬新なアプローチや解決策が生まれ、科学や社会に新たな貢献をもたらすことが期待されます。

未来への展望と持続可能な開発への貢献

超学際研究の将来は、持続可能な開発と直接的に関連しています。地球規模の課題に効果的に対処するためには、統合的なアプローチが不可欠であり、超学際研究はそのキーとなる戦略です。この研究は、さまざまな分野の専門家が共同で解決策を考えるプラットフォームを提供し、持続可能な未来を実現するための実践的なソリューションを生み出すための重要な役割を果たします。

この概観は超学際研究の多面的な特性とその現代社会における応用の重要性を理解し、さまざまな分野での具体的な適用例を第2回以降のコラムで詳しく見ていく予定です。

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