横浜国立大学では、環境研究総合推進費(1-1904 災害・事故に起因する化学物質流出シナリオ構築と防災減災戦略、R1~R3年度、代表:三宅淳巳)において、環境社会リスクの事例紹介ビデオを作成いたしました。このビデオは3部で構成されており、第1部は仮想のメッキ工場の火災とそれに伴って生じた消火水による環境社会影響に関したCGアニメ、第2部は化学物質漏洩を起因とした環境社会リスクの国内外の事例紹介、第3部では本事例に適切に対応するために求められる事項について言及しています。
地震により天井コイルが折損しアンモニア噴出
日時:1978/6/12
場所:宮城県
トリガー事象:地震(M7.4)
発災事象:食品冷凍事業所の冷蔵室天井コイルが折損し液アンモニアが噴出
社会影響:アンモニア噴出の影響は不明
備考:宮城県沖地震(マグニチュード7.4、震度5、死者28名、被災戸数1183戸)
豪雨によりLPタンクの配管破損による爆発
日時:1972/7/10
場所:広島県
トリガー事象:大雨⇒土砂崩れ
発災事象:配管の破損⇒爆発
漏洩物質:LPガス
社会影響:敷地外へタンクが飛翔(30 m)
落雷によるLNGタンクの火災
発生日時:2011/4/11
トリガー事象:落雷
発災事象:製薬会社の薬品製造工場にあるLNGタンクの火災
漏洩物質:天然ガス
社会影響:環境影響(大気)
消防車が出動し,約1時間半後に鎮火。
備考:
東日本大震災による損傷を受けており操業は停止していた。
出典:リレーショナル化学災害データベース「RISCAD」
落雷によるメタノール貯蔵タンクの爆発
トリガー事象:落雷
発災事象:貯蔵タンクの爆発
漏洩物質:メタノール(354t)
社会影響:生活影響(消防活動により一部メタノールが使用不能)
概要:
メタノール354tの入った貯蔵タンクに落雷があり爆発した。消防隊が出動して消火活動を行ったとき、消火水がタンクに混入したためメタノール約8tが使用不能となった。
出典:欧州重大災害危険委員会MAHBの事故データベースMARS
豪雨による天然ガスパイプラインの爆発
トリガー事象:豪雨⇒土砂崩れ
発災事象:土砂崩れによるパイプラインの損傷。天然ガスが漏洩して着火,爆発。
漏洩物質:天然ガス
社会影響:8名が死亡,35名が負傷し,多くの住民が避難。
出典:産総研 リレーショナル化学災害データベース「RISCAD」
落雷によるベネズエラの製油所での爆発火災
トリガー事象:落雷(2013/8/13)
発災事象:ベネズエラ・プエルトラクルスの製油所で落雷による爆発,火災が起きた。火災は約4時間後に消火した。
社会影響:避難指示(周辺1km圏内)
出典:産総研 リレーショナル化学災害データベース「RISCAD」
雪害により閉鎖された鉱山の廃水が沢に流出
トリガー事象:雪害
発災事象:閉鎖された鉱山の廃水処理施設から鉱山廃水の流出が起きた。廃水にはマンガンや亜鉛などの有害物質が含まれており,近隣自治体の水源となるダムにつながる沢に毎時約48立方mで流出した。
社会影響:環境影響(水質汚染)
出典:産総研 リレーショナル化学災害データベース「RISCAD」
サイクロンにより貨物船から重油が流出
トリガー事象:サイクロン(2009/3/11)
発災事象:オーストラリア沖合で貨物船に積載していた肥料用の硝酸アンモニウムのコンテナ31個が海中に落下した際,燃料タンクが破損した可能性があり,燃料の重油30t以上が流出。
社会影響:周辺の海岸線約60kmが汚染された(環境影響)。
出典:産総研 リレーショナル化学災害データベース「RISCAD」
地震による米国Alaska州Nikiskiの製油所での原油タンク溢流
トリガー事象:地震(2018/1/23, M7.9)
発災事象:NikiskiにあるAndeavor社Kenaiの固定屋根式原油タンクにスロッシングが起き、タンク上部から約10barrel(1.6m3)の原油が溢流した。
社会影響:なし(防油堤内のみ)
出典:吉田,「2018年に海外で発生したエネルギー貯槽関連事故」,圧力技術,58巻1号(2020)