リスク共生社会

設立目的と主な活動

リスク共生社会創造の要件

リスク共生の考え方によって運営される社会を、「リスク共生社会」といいます。リスク共生社会とは、豊かさ を目指すと、そこには必ずリスクがあることを認識し、ある種のリスクを受け入れることを覚悟して、リスクへ の対応の選択を行う社会です。

リスク共生社会の創造には、社会のリスクへの対応を考える際に、そのリスクを社会全体の視点で他の多様なリスクへの対応と共に社会の最適化の視点で検討 することが求められます。リスク対応では、特定の好ましくない影響は小さくすることは可能であっても、リスクへの対応策が別のリスクを派生させるためには、何ら かのリスクを受け入れる必要があるということを認識してリスク対応を考えることが重要です。
(成長をしないというのも、ある価値観では好ましくない影響)

しかし、リスクの受け入れの選択が難しい理由として、社会には様々な価値観があり、時期、状況、立場によって対応すべき問題が異なっているということがあります(図2参照)

一般に、リスク対応においては、目前の課題や自分が担当する課題の解決に注力する傾向があり、その課題対応によって発生する新たな課題に対して関心が薄かったり、把握する技術がなかったりする場合が多 いからです。

このような状況下でリスク共生社会創造のための活動ステップを社会全体で共有し活動を実施していく必要があります。

図2 社会の多様な価値調査例


リスク共生社会創造のための活動

リスク共生社会創造のためには、まず目指す社会像・価値観の構築・共有する必要があります。そのためには、 社会価値の体系化や優先順位等を明らかにすることが必要です。

次に実施すべきことは、 社会目的に対して影響を与えるリスクを体系的に特定し、それぞれのリスクの分析を 行うことです。このリスク分析には、社会自体の変化やその環境の変化を考慮する必要があるのはいうまでもあり ません。個々のリスク分析における課題もそれぞれの領域で検討する必要があります。

また、リスク共生社会創造の為には、文系理系という枠組みで議論することが多かった学の世界の改革も必要 になります。リスク共生社会を考える際に重要なリスクという概念は、影響を及ぼす対象(主として理系の知識に よる分析対象)と影響を受ける対象(主として文系の知識による分析対象)との相互作用です。したがって、リス クやリスク共生を考える場合は、必然的に文理融合の枠組みでないと扱えない事になります。

リスク共生社会創造は、社会創りであると同時に、新たな学問体系の創造活動でもあります。

そして、今後の重要な研究対象として、社会目的に合わせて受け入れるリスクを合理的に判断する手法の開 発とその手法を活用するシステムの構築です。

本センターでは、リスク共生社会創造に必要な研究開発を行うと共に、その実効性を検証することを目的とし て、研究成果の社会実装を行っています。また、社会の多様なリスクを評価するための社会リスク評価プラット ホーム(図3参照)の構築を活動のベースとして、リスク共生の考え方に基づく様々なリスク対応の社会実装や 情報発信を通じて、リスク共生社会の考え方を普及していく所存です。

図3社会リスク評価プラットホーム


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