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SIP -戦略的イノベーション創造プログラム- 「エネルギーキャリアの安全性評価研究」のご紹介です

SIPプロジェクトの「エネルギーキャリア」では、再生可能エネルギー等を起源とする電気及び水素等により、エネルギー源の多様化によるエネルギー安定供給と低炭素社会に貢献する新たなエネルギー社会を構築し、世界に向けて発信することを目的としています。

研究代表者の三宅は、平成15年度には消防庁による「新技術・新素材の活用等に対応した安全対策の確保に係る調査検討会」委員、平成17~19年度総務省消防庁委託・危険物保安技術協会における「新技術・新素材の活用等に対応した安全対策の確保に係る調査検討会」委員、さらには「有機ハイドライド水素システムの安全性検討委員会(平成18~19年度)」委員長を務め、水素エネルギー技術に関する新技術導入における安全性評価技術の普及を先導しました。一方、平成15~18年度NEDO委託事業・石油産業活性化センターにおける「水素スタンドのリスクアセスメント委員会」委員、平成18~20年度高圧ガス保安協会「水素インフラ安全性検討委員会」委員長、平成23~24年度NEDO委託事業・石油産業活性化センター「規制合理化検討委員会」委員長、平成25~26年度同・水素供給・利用技術研究組合「規制適正化検討委員会」委員長等を務めており、当該分野のリスクマネジメントと安全性評価に関する豊富な経験とそれらを実用化した実績を有しています。

横浜国立大学では、全国で初めて昭和42年に「安全工学科」が設立されて以来、プラントの災害の解析と化学物質のリスク管理について研究業績が蓄積されています。例えば、平成18年には大学院に環境リスクマネジメント専攻が設置され、平成19年度に科学技術振興調整費科学技術連携施策群の効果的・効率的な推進プログラム「事業者の化学物質リスク自主管理の情報基盤」(平成19年度~平成21年度)に採択され、この事後評価はS評価でした。

以上のように、現在までに蓄積されている研究成果は今回のエネルギーキャリアに関するステーションのリスクマネジメントの基盤となるものです。さらに、消防防災科学研究推進制度「水素スタンド併設給油取扱所の安全性評価技術に関する研究」を平成26年度より予定しています(代表:三宅,分担:澁谷,笠井)。1年目は液体水素スタンド、2年目に有機ハイドライドスタンドの安全性評価を実施する予定であり、そのアウトプットは本申請課題の実施に活用することができます。
産業技術総合研究所では、研究交付金により「水素等の輸送貯蔵における安全ガイドラインの提案」を平成25年度より開始しています。水素ステーションなどの社会受容性を向上させるために、水素やアンモニアの万が一の事故による被害を明らかにし、その対策とリスク低減効果を明確に示し、保安管理ガイドラインを提案するとともに、一般市民を対象とした社会受容性のアンケート結果を解析して、リスクコミュニケーション手法ガイドラインを提案することを平成29年度に予定しています。
水素ステーションの事故による水素やアンモニアの爆発被害予測について実験および解析を平成25年度より開始しており、それらの火災、爆発によるリスク評価まで実施する予定です。そのアウトプットを本提案に活用します。
広島大学では、交通工学、地域計画についての研究業績が蓄積されています。特に、交通工学、地域計画に欠かせない空間統計モデリング技術は、平成15年土木学会論文奨励賞、平成16年土木計画学論文集招待論文、平成22年道路と交通論文賞を通じて、土木学会、交通工学研究会において高い評価を得ています。以上の研究成果は水素ステーションおよびエネルギーキャリア輸送時の事故による周辺住民、建物、交通への被害量を算定する際に用いられる暴露データの構築の基盤となるものです。さらに、修士論文として、交通事故と交通特性(交通量、運転者属性、道路形状)のモデル化研究を平成25年度より開始しています。この成果を本提案にあるエネルギーキャリア輸送時の事故発生確率推定ガイダンスの基盤として活用する予定です。
本プロジェクトは、以上のような十分な基盤・陣容を有する横浜国立大学、産業技術総合研究所、広島大学が連携しながら進めるものです。

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